洋書屋トトの読書生活

トトは古代エジプトの知識の神。この世のあらゆる知識を込めた42冊の本を書いたとされています。

セザンヌが好きだ

画家の中でも、セザンヌは私にとって特別な存在です。絵画というものに対して持っていた私の中の既成概念を覆されました。と言っても、わたしの乏しい感性と知識ではラファエロボッティチェリのいかにも「芸術」的な絵とルノワールの絵やモネの睡蓮のような、これまた、いかにもな印象派の「芸術」的な絵、そしてピカソゲルニカのような「ゲイジュツ」的のように、有名どころだけをみて、「絵画」というものはこんなだと思ってた、という程度の既成概念なので、たかが知れてますが。

wikiart

https://www.wikiart.org/en/paul-cezanne

ですので、一歩だけ深く、絵画の世界に足を踏み入れるきっかけになった画家、という存在です。最初はセザンヌの風景画も「展覧会で、有名な絵と絵のあいだにポツンとある風景画」程度にしか感じれませんでした。昔は絵が上手だったおじいさんが、年取って疲れやすくなったからざっくり描いたら、なんかそれっぽくなった、程度の認識です。

それがひっくり返ったのは、何かの企画展で、ふと見たセザンヌ の風景画でした。確か森の絵だったかと思うのですが、それを何気なく見たときに何も考えてなかったので、「風景」と認識しませんでした。しかも、ぼうっとしてたからでしょうけど、それが「何」の絵かも考えることもなく、数秒眺めてしまいました。そのとき、色と形の構造物が「どうっ」と網膜をとおって頭の中に入ってきました。網膜を通ることで、頭の中で色の濃淡と面の組み合わせが織りなすマンダラというか…。

その後になって、やっとそれが木々の緑や縦にのびる幹や、水面の反射の光なのだと気がつきました。モチーフと一旦離れることで、エッセンスに気がつくことができたのか、わからないのですが、それからセザンヌが好きになりました。

そんな体験があったからか、風景画と静物画が特に好きです。そんな中、待ちに待っている、神戸市立博物館のコートールド美術館展。神戸市立博物館は、常設、コレクションエリアは5/19から開館するようですが、コートールド美術館展は、まだ発表がありません。(5月19日現在)セザンヌの絵が10点も観れる。風景、静物画とか言っておきながらですが、やはり「カード遊びをする人々」は絶対みたいです!