洋書屋トトの読書生活

トトは古代エジプトの知識の神。この世のあらゆる知識を込めた42冊の本を書いたとされています。

『The Testaments』(日本語訳書名:誓願)(Margaret Atwood

侍女の物語』続篇 ブッカー賞受賞作

侍女 オブフレッドの物語から15年後。 侍女の指導にあたっていた小母リディアは、司令官たちを掌握し、ギレアデ共和国を操る権力を持つまでになっていた。 司令官の娘として大切に育てられるアグネスは、将来よき妻となるための教育にかすかな違和感を覚えている。 カナダで古着屋の娘として自由を謳歌していたデイジーは、両親が何者かに爆殺されたことをきっかけに、 思いもよらなかった事実を事実を突きつけられ、危険な任務にその身を投じていく。 まったく異なる人生を歩んできた3人が出会うとき、ギレアデの命運が大きく動きはじめる。

静かに、強靭に、闘いをやめない女たちの物語。

(日本語訳書の商品紹介より)

違う立場の3人の女性の手記によって物語が進んでいきます。章ごとに手記の著者が入れ替わりながら、まるで織物のように彼女たちのストーリーが編まれていき、そして一つの結末へとつながっていく様子が、素晴らしいです。

また、最後の追加コンテンツとして、この本を振り返る「ディスカッション・ポイント」があるのも面白いと思いました。他の洋書でも見たことがありますが、本の内容が自分にどのような考えや観点を与えたか、自分ならこんな時はどうするかなど、10個の質問があり、この本を同じように読み終わった人と、話しをするのに役立つと思います。

英単語はそれほど難しいものはありませんでしたが、所々聖書の内容が出てくるので、全く知らなければ難しいところがあるかもしれません。また、前作「侍女の物語」から続く物語なので、前作からの主な舞台であるギレアデ共和国独特の風習や施設、歴史も、少し戸惑うかもしれません。前作「侍女の物語」を読んでいれば問題ないと思います。

あと、ブックデザインがとても素敵です。女性の襟元に、手を広げる女性が隠れていますね。

日本語訳書はこちら。